イスラエルのウェラブルデバイススタートアップまとめ
iPhone発売10周年となる2017年。どのような仕様になるか様々な憶測を生んでいる「iPhone 8」(仮) ですが、これから10年後もスマートフォンが存在しているかは定かではありません。
そこで今回は次に我々の生活において必需品になるであろうテクノロジー・ウェラブルデバイスの現状と関連のイスラエルスタートアップを紹介していきます。
既存のウェアラブルデバイス
近いうちに大きな市場が生まれると言われ続けていながらも、Apple WatchやFitbitなどいまいち一般的な生活に浸透していっていない感のあるウェラブルデバイスが現状どのようなものあるのか見ていきましょう。
(引用元:amadeus Tips for Leveraging Wearable Technology in The Travel Industry )
(引用元:hillcrestlabs Wearable Device Makers to Enjoy Higher Performance and Faster Time to Market Thanks to Hillcrest Labs )
以下のことが見えてくるのではないでしょうか。
- 眼鏡、腕時計、靴などに限られている。
- 機能も情報を得る、アラートを受ける、娯楽目的、セキュリティーなど限定されている。
- 必ずデバイスと身体との接触を伴う。
- 今後、接触から離反もしくは、身体との同一化が考えられる。
- 機能面でもより多くの健康要素指数の記録、支払いや融資の基準、本人確認など人間のアイデンティティーにかかわる部分まで侵食してくると思われる。
実際、スウェーデンの鉄道会社・Swedish State Railwaysが皮下への埋め込み式チップRFID tag implants導入を発表。これでチケットを持ち歩くことなく、チケットの購入や本人確認ができるらしい。ただ、Swedish State Railwaysは電車がほとんど時間通りに来ることがなくサービスも酷いと評判の鉄道会社だそうで、「デジタル化」や「機能することは実証されている」などと主張し、懸念点など議論することなしにイメージ挽回のために導入した模様でかなり不安の残る展開となっている。とはいえ、きちんと安全性機能性利便性などが証明された暁には、普及の進む技術ではあるだろう。
以下イメージ動画
Swedish railway operator uses microchip implants as payment
ウェラブルデバイスのイスラエルスタートアップ5選
Glide
2012年設立、拠点はJerusalem, Israel。4ラウンドで計$36.5Mの資金調達。直近では2016年5月にシリーズB後のconvertible Noteで$8M資金調達。
iOS, Android, windowsのスマホ、タブレット、スマートウォッチに対応するライブストリーミングも可能な動画チャットサービス。サービスは無料でメッセージは全てGlideのクラウド上に保存され、動画などのデータが端末の容量を使用することもない。また、メッセージを消去した場合クラウドからも消去されるので、ソーシャルメディアにも残ることはない。
主軸は上記のソフトウェアサービスだが、近日Apple Watch用の自社カメラ付バンド「CMRA」を現在$189でプレオーダー中。こちらはバンドに二つのカメラが付いており、スマートウォッチでの対面のビデオチャットとユーザーの視点の映し出しどちらも容易にする。
Together - Apart (Glide App Promo)
Oxitone Medical
2010年設立、拠点はHaMerkaz, Israel 。2ラウンドで計$4.75Mの資金調達。直近では2014年9月にシリーズAで$3.85M資金調達。
元祖スマートウオッチ型パルスオキシメーター。手首からSpO2と心拍数を計測可能。データは遠隔の病院クラウドサーバーとユーザーアプリに自動的に同期される。医療現場への導入の中で今のところ最も現実的な技術かと思われる。
Wearable Devices LTD
http://www.wearabledevices.co.il/
2014年設立、拠点はHaZafon, Israel 。資金調達関連の情報は無し。
指のスナップの動作だけでスマートウォッチコントロールを可能にするスマートウォッチストラップMudraを開発。特定の指の形をすることで変化する手首の腱の動きの変化をストラップにあるセンサーで感知することでデバイスをコントロールする。
微妙な指の動きを使用して、ロックを解除したり、スワイプしたり、テキストをスクロールしたり、選択したり戻したり、音楽を再生したり、通話を管理したり、アップデートを確認したり、通知に応答したりすることができる。
OrCam
2010年設立、拠点はJerusalem , Israel 。2ラウンドで計$56Mの資金調達。直近では2017年4月にベンチャーラウンドで$41M資金調達。
盲目、視力が著しく低下した人、失読症、失語症などの人に向けたビジュアルアシスタントスマートグラス。今年3月にIntelにより買収が発表されたMobileyeのCTO Amnon Shashuaがco-founderを努める。
視界にある文字をタッチもしくは指差しすると、それらをめがねに付けられたカメラが認識し、音声で読み上げてくれる。認識不可能なものはモードを変更し、デバイスに学習させることも可能。
イスラエルのスタートアップを調べているとシリアル起業家が多い印象を受けるが、その中でもMobileyeからは良質な起業家がたくさん生まれている。イスラエルスタートアップエコシステムのいい例。
Health Watch
http://www.personal-healthwatch.com/
2010年設立、拠点はHaMerkaz , Israel 。1ラウンドで計$20Mの資金調達。直近に2017年2月にベンチャーラウンドで$20M資金調達。
遠隔医療のための最高品質のECG(3〜12リード)を服の中に織り込み、スマートフォンや標準遠隔測定システムを使用して、バイタルサインおよびアラートをユーザーに伝えるスマート衣料。Health Watchは快適でスマートなデジタル繊維衣服によって個人の健康を確保することに専念する医療技術デバイス会社。ホルターモニタリング、イベントループ録音、運動ストレステスト、遠隔医療および遠隔での心臓のモニタリング、そして将来的なパーソナライズド・メディカルに最適化されたデバイスを開発。
HealthWatch: Weaving Health into Everyday Life
実はスタートアップ大国のヨーロッパ小国エストニアに行ってきた
みなさんお久しぶりです。記事の更新が滞っていましたがまた再開させていただきます。
突然ですが、エストニアと聞いて何を思い浮かべるでしょうか。
それ以外のイメージが特にないかと思われます。ですが、近年エストニアではIT産業、電子政府制度やソフトウェア関連のスタートアップの隆盛があり、旧ソ連各国の中でも比較的安定した国家であると知られています。
孫泰三さんも称賛しており、筆者もその噂を聞きつけて、アメリカから日本へ戻る途中で「電子居住権」(e-Residency)の受け取りも兼ねて、エストニアの首都タリンへ視察に行って参りました。
エストニア
ご覧の通りバルト三国の最北で北欧に最も近くに位置しています。ヘルシンキへフェリーで二時間程度で行くことができるため、フィンランド湾に面する主要都市のひとつでもあります。
高緯度に位置しているため、筆者の訪れた6月上旬でもコートが必要なほど寒く23時頃までも明るい白夜に非常に近い現象をました。現地の方曰く、寒すぎるので視察に来る人たちの存在は夏(6~8月)以外ははたと消えてしまうそうです。
意外な点としては、一人当たり名目GDP$27,880は世界で41位(2014年)で旧ソ連の国の中では最も大きいです。また、旧ソ連国で初めてユーロ導入国であり、次にラトビア、リトアニアと続いてきました。公用語はエストニア語で、歴史的背景よりロシア語も盛んに使用されています。エストニアに関する記事では多くの人が英語を話すことができる人が大多数というものをよく目にしますが、個人的にはそこまででもないと感じました。
また前述のとおり、Skypeを成功モデルとしたITスタートアップが盛んであり、政府による経済統制がない市場放任型を取っており、ヨーロッパのIT企業のオフショア開発の一つとなっています。
IT産業とスタートアップ
言わずもがなエストニアのスタートアップエコシステムの隆盛はこの国発祥のSkypeによるところは大きいです。F Venturesの両角さんのmediamでも触れられていましたが、Skypeマフィアなるものがあるそうで、成功した起業家がシリアルアントレプレニュアー、投資家、インキュベーターになり後続のスタートアップを支えるという流れが出来ています。
タリン郊外にあるSkype本社。アポなし突撃したがさすがに追い出されました。
産学連携施設・MEKTORY
またエストニアは早期のIT教育や国際学力調査で欧州の上位国としても知られており、産学の連携がうまく取れている印象です。Skypeの本社のすぐ近くにはタリン工科大学(日本では会津大学と提携しているそうです)があり、そこには学生と企業向けのコーワーキングスペース兼インキュベーター施設のMEKTORY (Modern Estonian Knowledge Transfer Organization For You)があります。ここではSamsungやEricssonなども出資しているそうで、ミーティングルーム、ラボ、オフィスなど完備され、コンペやインキュベーションなどが行われています。また、早期のIT教育を支えるという点で、子供向けのワークショップなども行われています。政府が大学や研究機関、企業を巻き込んでIT産業を強化しようとしているエストニアのグローバル志向を持ったスタートアップエコシステムの縮図を見ることができるのではないでしょうか。
ここはオープン施設なので事前のアポなしでも館内の見学は可能です。
Science Park Technopol
また、MEKTORYの隣の建物にはTechnopolというインキュベート施設が存在します。ここでは、シードアクセラレーションプログラムが提供されており既に150ものスタートアップを輩出しているそうです。ここでも元Skype関係者やエンジェル投資家たちがスタートアップ支援をしているそうで、エストニアではSkypeがスタートアップのロールモデルとしてうまく機能していることがうかがえます。
e-Residency
筆者がエストニアに来た本当の理由はこの電子居住権 (e-Residency)の受け取りです。
e-Residencyとは公式サイトによると、「世界初の国家による電子居住権で、これにより、世界中の人がオンラインでエストニア内に会社を設立し、どこにいるかに関わらずビジネスオペレーションが可能となる(”The Republic of Estonia is the first country to offer e-Residency, a government-issued digital identity that empowers entrepreneurs around the world to set up and run a location-independent business.”)」そうです。
何ができるのか
こちらもエストニア国民には全員IDが配布され、日本のマイナンバー制と似たようなものではという話もありますが、大きな違いは情報の対称性にあるかと思います。一見、監視社会になりうると思われるかもしれませんが、この仕組みでは国民が政府も監視することが可能となり、早期のIT教育を受けているエストニアの人たちはその利点の方を理解しているようです。またそれに加えて、国民は投票も納税もオンラインで可能だそう。(e-Residentsは投票権や実際の居住権は持たない。)
このように良くも悪くも極めて対称性の高い相互監視身分証であるため、ブラックビジネス(ロシアからのそのようなビジネスは多いそう)や銀行口座だけ作ってタックスヘイブンとして使用するなどというのは難しいのだと思います(政府がそのような目的で作ったわけではないので)。なので、実際このe-Residencyを有効活用してビジネスする場合は上手にエストニアを絡めてインボイスを最小化するなど、ロジスティックを考えるのが重要かと思います。クリーンなビジネスを心がけましょう。
電子国家誕生の理由
e-Residencyが生み出された理由にはエストニアの歴史的背景があるようです。
エストニアは1971年にロシア帝国が崩壊し、再びソ連への併合を経て、1991年ソ連崩壊後の独立しました。バルト三国でもっとも小さく、人口も130万人程度の国家は、常に巨大なロシアからの侵略・支配にさらされてきた。現在でも、米大統領のトランプのNATOに関する発言もあり、ロシアからの侵攻に備えて他のバルト三国や旧ソ連国と同様に訓練がなされています。特に、ロシアに最も近いEU都市のナルヴァでは、反ロシア意識が強く残っています。
このように独立後でも、再び国土を侵攻されるかもしれないという意識は根強く残り、そこから電子国家という発想が生まれたそうです。物理的な領土を失い、行政の機能が働かなくなったとしてもクラウドというデジタル上の国土にアクセスすることで、同胞が繋がり国家が存続し続ける。
このように必要に迫られたり、危機に晒されたりするなどの強烈なインセンティブがあるからこそ新しい発想が生まれ、いちはやく実行に移してみるというのは、イスラエルとも似ているなとも思いました。
e-Residencyの取得方法
応募はオンラインのフォームを埋めるだけ。必要なのはパスポートなどの身分証や顔写真、申請料くらいでしょう。あとは承認と発行されるのを待ち、メールを受け取り次第、事前に選択した指定のピックアップポイントに取りに行くだけ。筆者はタリン郊外にある警察署を選択しました。(申し込み方法はこちらに詳しく書いてあります。)
エストニアでのピックアップポイントは警察署。
お役所仕事はどこも同じようなところなのだなと思いながら、待つこと10分。
このような形でe-Residencyは受け取れる。
このようにして、レジデンスカードをポートに挿すことによってオンラインでの身分の証明、ビジネスの契約や支払いなどがすべてオンラインでできるという仕組みです。本カードを取得後は、銀行口座を開いたり、会社を登記したりを仲介してくれる第三者の民間企業に依頼可能です。
ここまで読んで、e-Residentになるのめんどくさと思った方、安心してください。エストニアに行く必要は全くありません!!実はピックアップセンターは世界中の国々にあります(もちろん、日本・東京にも)。国の領土へ足を踏み入れずとも、電子居住権が手に入ることが本当の意味でのDigital Global Citizenだそうです。興味のある方はぜひ。
話は変わりますが、最終日一人バーで飲んでいたらアパートのオーナーとその友人とばったり出会い、一緒に飲むことになったのですが、その友人がエストニアでビジネスをする外国人だそうで、実際エストニアはビジネスがしやすいそうです。ただ、今もてはやされているオンラインビジネスを行おうとすると、エストニアとのオンライン上での支払いのアグリーメントがヨーロッパ企業ですらないなどという落とし穴に出くわすそうで、まだオーソドックスな方法ではないよう。今後、新たに具体的なe-Residencyの使用方法など分かり次第シェアさせていただきます。
追記
北欧やモスクワともアクセスがいいですし、タリン旧市街は保存状態の大変良い市街地としてユネスコの世界遺産に登録されていますので、ヨーロッパの観光地としても楽しめますよ。
(参考文献:http://farsite.hatenablog.com/entry/2016/10/29/112517)
イスラエルについて知ってほしいこと
Facebookでも同じ内容を投稿しましたが、2ヶ月のイスラエル生活を経ての活動報告を書かせていただきます。
イスラエルって実際のところどんな国じゃいという人に向けて。多分WBCでイスラエル意外と強いぞみたいな感じで日本では湧いていたのではないかと思います。
去年Slush AsiaやらSkyland Venturesやらで活動していた時に「イスラエルはスタートアップネーションらしいぜ」という噂を小耳に挟んでいたこともあり以前から行ってみたいなと思っていたイスラエルで2ヶ月ほどインターンしてきました。インターンについてはまた後日書きます。
結論から言うと、噂は本当ですし正直僕はスタートアップに関わらずイスラエルという国自体(パレスチナやガザ地区には行ってないので国自体という表現は正確ではないかもしれません)またユダヤの文化に惚れ込んでしまいました。
もともと大学に戻る予定で渡米の三日前に急遽決まったことだったですし、(上記のような噂を聞いていても)イスラエルに対して、砂漠が広がってラクダがあっちゃこっちゃにいてミサイル投下や自爆テロが日常的に起きているというイメージを少なからず持っていたのでもちろん不安でした。最終的にはそのイメージが180°変わることになりました。
<街の雰囲気、宗教>
実際、国連が指定している首都のTel Aviv(イスラエル自体はJerusalemが首都と主張しています)に来てみると、ちょっとビジネス街から歩くだけでビーチがあり、物価はめちゃくちゃ高いのはねっくですが、とても安全で食べ物も美味しいしみんなとても人懐っこい。自分は雰囲気は大阪に似ていてすごく過ごしやすい街だなと感じました。
Tel Avivの人の90%が無神論者らしいですが、車で45分くらいのところにあるJerusalemは本当にユダヤ教、キリスト教、イスラム教の方がそれぞれたくさん住まわれていて雰囲気は一気に荘厳になり一変します。それと同時にゲイの聖地のTel Avivと宗教の聖地のJerusalemが一つの国の中で共存しているということもなかなか興味深かったです。これも世界中に(アジアやアフリカはかなり稀な印象を受けた)離散したユダヤ人が各国の文化をを持ち込んでできたのがイスラエルの文化であり、かなりの多様性を持ち合わせているが故に実現していることなのかもしれません。Tel Avivに関しては皆さんの抱いている中東の雰囲気はほとんどありません。もちろんネゲブ砂漠などの南の方の街に行けばマシンガンを持った軍人やイスラム系の方もラクダもたくさんいます。イスラエルは比較的小さな国なので簡単に全体をざっとみて回ることができるのですが、少し離れた場所へ行くと全く違った雰囲気がありなかなか不思議な国でした。
<暮らす人々>
今自分は20歳ですが同じ年齢のイスラエル人に会うことは全くと言っていいほど会いませんでした。というのも超正統派の宗教家でない限りは18歳から男性は3年間女性は2年間の徴兵制度があるからで。徴兵終了後2年ほど旅行したりと休暇をとったりする人も多くそのあと大学へ行くそうなので、日本でいう新卒が早くても26, 7歳みたいな感覚です。でも、兵役時代の経験で得られるのは精神的身体的タフさだけでなく、日本では大学の学部や職種によって偏りがちな横の繋がりやリーダーシップだと思います。実際インターン先のCEOのリーダーっぷりはすごかったです。また、アメリカに行こうがヨーロッパに行こうがアジア人にはどこでも会うのですが、ここでは本当に街中を歩いていても自分と同じ人種と会わない。これは結構自分にとっては新鮮な体験でした。
<スタートアップ>
スタートアップに関しては、数日前にMoblieyeがintelに買収されたというニュースをご存知の方も多いと思いますが、その自動運転車向けのセンサーを開発しているMobileyeはイスラエル発スタートアップです。一人当たりGDPにおけるベンチャー投資額でもイスラエルはダントツの一位で、二位のアメリカの二倍ほどあります。全体的な俯瞰とすれば、CyberSecurity(これは地理的条件からして必然だと思います), FinTech, automobile industryが盛んな印象を受けました。どのスタートアップもイスラエル国内のマーケットが小さいので創業時点から世界に目を向けることが前提になっていました。ここは自分はまだ不確かですが、IPOを目指すというよりはM&AやExitまた技術面での提携を求むスタートアップが多いように感じました。ですので、海外からのITやテクノロジー関連の企業が多数視察に来ています。もちろんサムライの榊原さんやイスラテックの加藤さんがイスラエルスタートアップのブランディングを行なってらっしゃるおかげで日本国内での知名度も上昇しているようで、特に今年から日本からも大企業の方がたくさん来られているそうです。自分が2ヶ月いる間だけでも10社くらいの方と会いました。(ちなみにそのほぼ半数の方が自動車業界でした。)歴史的にみて常に憎まれ殺され何度も絶滅する可能性が多々あったユダヤ人には自分でなんとかしないといけないという意識が強くあり、また失敗に対してもすごくおおらかで何度でもチャレンジできる環境があり、それが起業家精神やスタートアップネーションにつながる所以でしょう。それに軍隊で鍛えた技術力などが建設や通信の分野でユニークなスタートアップを産んでいるようです。
<イスラエルの問題と偏見>
もちろん完全に安全と言い切るのは違うかもしれません。自分が滞在中も南端のエイラットにミサイルは落ちてますし、Tel Avivにもやはりミサイルが飛んでくるみたいなのは数年前にもあったそうで、ほとんどが迎撃されるそうですが街中のショッピングモールや各家には対ミサイルシェルターが設置されています。(けどここは北朝鮮からミサイルが定期的に飛んでくる日本と変わらないのではとも僕は思います。)それとはまた別にイスラエル人の中でも50年後にはこの国はなくなってるかもしれないからねと呟く人もいました。
現地に住まわれている日本人ガイドの方とガザ・パレスチナ問題についてお話ししてとても衝撃を受けました。一見、イスラエルといえばガザ・パレスチナ問題ばかりに注目が集まりがちですが、国内においては生活保護を受給しているユダヤ教超正統派とそれを支えている世俗派の間の財政的確執も大きな問題の一つなそうです。日本ではガザ・パレスチナ問題において一方的にイスラエルが悪というイメージを植え付けるような報道(イスラエルがそれらの地域に一方的にミサイルを落としているなどなど)がされていますが、実際はガザから攻撃を仕掛けているそうで、上記に書いたようにユダヤ人は自分のことは自分で守るという意識が強いので自国をテロから守るためにこのような手段をとっているそうです。確かに結果的に圧倒的な力で弱者をねじ伏せているように映るかもしれませんが、一番の問題は上記2地域が支援金を本当に必要な人に回さずに軍事費として使用し負のスパイラルに陥っていることだと感じました。
もちろんこれもまた別にイスラエル側からのバイアスがかかっている意見だとは思いますし、自分の目で確認した訳でも知識が十分にある訳でもないので中立的な意見はまだ出せないですが、少なくとも「日本での報道は間違っている」これだけは断言できます。次はきちんとパレスチナにも足を運んでみようと思います。最後に、資源のない日本はアラブ諸国との関係も保たないと行けないので現在行われているようないびつな報道になってしまうのだとも思います。。。
この章は本当はもっと書きたかったのですがここら辺でやめておきます。正直僕は歴史と政治にすごく疎いです。このあたりに詳しい方教えてください。勉強したいです。
<これからのイスラエルと自分>
残念ながら現在イスラエルを訪れる日本人は大抵キリスト教の方か大企業の方でスタートアップを視察しにきたという人ぐらいです。せっかくイスラエルは政治的、宗教的、技術的色々なトッピクにおいて面白い国なのに間違った報道やイメージで行くのを戸惑うというか行くという選択肢にも上がらないというのは少し勿体無いし残念だなと思います。自分もご縁でたくさんの方に助けていただいたのでこれを読んでイスラエル行ってみようかなって思ってくれた人は手伝いますのでぜひ。
とはいえども特に今年から徐々に日本との関係が良くなっているタイミングでイスラエルに滞在できたというのはとても幸運だなと思いますし、比較的イスラエルに対して好意的態度を取っているアメリカの大学生としてまだまだ自分にやれることやりたいことがあるのでこの夏もイスラエルへ戻ることにしました。
イスラエルに行くことを実現させてくださった方々、現地で出会ったみなさんありがとうございました。おかげで今まで触れたことのない文化や思考に出会い、そして安全に楽しく過ごすことができました。また6月によろしくお願いします。
BrainTech Conference 2017 まとめ
3/6-7にイスラエルはテルアビブにて行われたBrainTech Conference 2017に行って来ました。これまたBrainTechなんて日本で聞いたことがなかったのですが(脳科学みたいなものでしょう)、非常に興味深い内容ばかりでした。BrainTechは現在医療分野で癌の次に投資額が多いそうで今ホットな領域の一つです。
BrainTech 2017とはIsrael Brain Technologies (IBT)が主催するBrainTechに特化したカンファレンスで脳分野の世界で有数の研究者、臨床医、業界を牽引するリーダーが40人以上集い、機会や技術開発の発表、議論をした。
以下プログラムの紹介。
・脳の生態系全体からの750人以上の参加者:業界リーダー、投資家、起業家、臨床医、研究者、学生
・IBTのBrainnovationsアクセラレータ卒業生を含む、新しいベンチャーを特徴とする脳技術企業展とスタートアップパビリオン(出展者の全リストを見るにはここをクリック)
・Sanara Ventures主催のスタートアップコンペ、そしてVirtuozoとXtechとのパートナーシップで、メインステージのファイナリストチーム5名のピッチセッションを含む(詳細はこちらをご覧ください)。
・150を超える1対1のミーティングを促進し、数十の協力とビジネスチャンスを開始した先進的なミーティングプラットフォーム。
・IBTのBrainnovationsアクセラレータと米国のNeuroLaunchアクセラレータの協力の発表(続き)
・Israel Innovation Authorityが支援するIBTのBrain Technology Associationを立ち上げ、イスラエルの脳技術産業を結集して研究開発と技術導入を進めるための新しいコンテンツとプログラミングを作成。
・数百万ドルの数学的神経科学賞は、Weizmann InstituteのMisha Tsodyks教授と、Max Planck自己ゲノムと自己組織化研究所のFred Wolf教授の2名の研究者に授与されました。
私が参加できたのは主にスタートアップカンファレンスとスタートアップ展示会なので、それぞれピックアップしていきますと。
まず、Sanara Ventures主催のスタートアップコンペ。
Sanara Ventures, PartnerのAssaf Barbea氏
参加スタートアップは以下
EyeMind: VRと高度な機械学習アルゴリズムを使用した神経認知状態の診断および治療モニタリングプラットフォームの開発
BrainVivo: 臨床MRIスキャナーを顕微鏡に変換する次世代の脳画像技術の開発
Junction therapeutics: 血液脳関門を治療ハイウェイとして使用し、望ましくないものを取り除くことを可能にする薬物の開発
Taliaz: 精神障害のための医薬品を調整するための遺伝的および環境的なソフトウェアツールの開発
Triticum: 末梢血管における急性虚血性脳卒中および閉塞の治療のための血餅採取装置の開発
個人的に感心したのがTriticum。血餅を取り除く手術において既存の金属でできた器具だと血管の内膜を傷つけてしまう恐れがあるがあるが、Triticumはトカゲの足の裏の吸盤と同じ形態をしたシリコンの器具を作ることで血餅を絡め取るという仕組みになっており、侵襲性の低いプロダクトとなっている。
展示においてはEEG(脳波計)とアルツハイマー病の予防もしくは治療のデバイスが多く見受けられた。例えば、前者はAlpha Omega, InnoSphere, BrainMarcなど。この分野は研究向けのものはすでにディストリビュートされており、今臨床向けの提携先を探し始めているという印象を受けた。EEGが実際に診断や治療などに使用される日も近いと感じた。後者は、NEURONIXやIntenduで特に、NEURONIXのneuroADはマッサージ機のような機械に乗って磁力刺激によりアルツハイマー病の進行を遅らせる世界初のプロダクトで効果もハーバードメディカルによって証明されている。ヨーロッパの一部の個人病院から導入されているそう。
NeuroAD TMS solutions for Alzheimer's disease
他にもアイトラッキングで人の感情を記録したり、それぞれの人にあった焦点に沿ってカスタマイズできる眼鏡を作っているスタートアップなどがあった。
学生がカンファレンスに入り込んだところで今までほとんど相手をされたことがなかったのですが、前回のブログでMedTechに絞るとしたように目的意識を持って参加すると意外と色々話していただけたし、話も聞いていただけた。要するに、ただ話を聞きに行くという姿勢で臨むよりも何かギブ出来るものを用意して行くとカンファレンスやオフィス訪問が学生でもただ冷やかしに行っただけみたいな感じに終わらないということが個人的な勉強になった。
(参照元:
)
イスラエルを代表する5つのHealth Techまとめ
お久しぶりの投稿ですね。
このブログを始めた当初は英語のスタートアップやテクノロジー関連の記事を訳して行くことから始まり、AIによって消えるかもしれない仕事まとめ(会計士の記事が未だになぜか人気が高い。)を経て世界のスタートアップまとめに落ち着いたという流れがある。
そしてこの1ヶ月ほど自分の中でイスラエルからさらにソートをかけて、これからはイスラエルのHealth Tech, MedTech, BioTechあたりを中心に紹介していきます。
それでは、今知っておくべきイスラエル発Health Techスタートアップ5社を紹介していきます。(イスラエル発ですが、拠点を海外へすでに移している会社も含みます)
Rewalk Robotics
2001年設立。2ラウンドで計$18.2Mの資金調達。また、2016年10月にポストIPOエクイティーで$12M。現在の拠点はベルリン。
Rewalk Robotics Ltd(旧Argo Medical Technologies Ltd)は、下肢障害のある歩行システムReWalkを開発、製造、販売しています。その製品にはReWalk Rehabilitation SystemとReWalk Personal Systemがあり、ReWalk Rehabilitation Systemは、歩行、立位、座り、リハビリセンター環境での階段の昇降を実現する。ReWalk Personal Systemは、家庭、職場などのさまざまな環境で日常的に使用するように設計されており、屋外およびあらゆる地面の形状にて機能する。ReWalk Personal Systemでは、座ったり、立ったり、回転したり、階段を上ったり下ったりすることができる。
ReWalkのデバイスは、ユーザーの足に縛られ、骨盤と手足の動きを刺激する。松葉杖のサポートを追加することで、以前は車椅子生活を余儀無くされていた人が階段までも登られるようになった。ReWalkの直立性を回復させる能力は、Claire Lomasが2012年ロンドンマラソンを17日かけて歩いたことで証明されました。これは創業者であるGoffer博士の革命的なウォーキングマシンなしでは実現できなかったでしょう。
ちなみにReWalkはもうwikiページもあります。
Telesofia
2011年設立。2ラウンドで$1M資金調達。現在の拠点はテルアビブ。
Telesofia Medicalはどのデバイスでもパーソナライズされた、単純明快でインタラクティブな患者教育ビデオを配信可能にする。それまでの医療器具にインターネットを持ち込むのは極力避けるべきという暗黙の了解を打ち破り、このスタートアップにより、世界中の医師が、直感的な患者教育ビデオを通して、個人的で正確でインタラクティブな医療指導を行うことができる。例えば、患者が医師から新しい薬を受け取り、それを取る方法がわからない場合、Telesofiaのビデオは薬をどのように使用するべきか、そして注意すべき副作用、特定のニーズに合わせたデータユーザーがプラットフォームに入力した情報に従ってユーザーに解説する。Telesofiaのビデオはあらゆる種類のインターネット機器で閲覧でき、同社によれば、致命的な発作、ひどいアレルギー反応、さらには心臓発作などの極端な場合には、誰でもどこからでも直接アドバイスを受けることができる。2016年に遠隔医療が良しとされた日本でも注目すべきスタートアップでしょう。
Surgical Theater
http://www.surgicaltheater.net/
2010年設立。3ラウンドで$9.63Mの資金調達。拠点はアメリカ・オハイオ州のクリーブランド。
Surgical Theaterは、脳神経外科手術前の計画とリハーサルが可能な手術リハーサル・プラットフォーム(SRP)を開発、販売するスタートアップ企業。特許取得済みの3次元イメージング技術により、手術前に外科医はリハーサルを行い、危険な手術をより安全に行うことが可能。
空軍のパイロットと外科医は一目共通点はないように見えますが、Surgical Theaterを設立したイスラエル空軍のパイロットであるMoty AvisarとAlon Geriによると、パイロットと外科医は同じスキルをしばしば利用するそうだ。 AvisarとGeriは、患者のCTやMRIスキャンから取り込まれた3D画像から医師がより複雑な手術を行うことができる画期的な医療プラットフォームを開発することでそれを証明した。Surgical Theaterは既に米国の神経外科医によって使用されている。医師がオペを行おうとしている脳(またはその他の関連器官)を知るためには、パイロットやビデオゲームユーザーでなくても、ジョイスティックを使って患者の皮質を操作して手術を行うことが可能。 Surgical Theatreは2012年の神経外科医会議で発表され、FDAの承認を得て以来、Mount Sinai、Mayo Clinic、NYU、UCLA病院などの米国の主要病院で実施されています。 Surgical Surgical Rehearsal Platform(SRP)の成功後、外科医が手術中に過去の臓器やその他の動脈を見て、危険な事故の発生を最小限に抑える技術を開発しようとしています。
軍事産業が盛んなイスラエルだからこそ湧いて来たインスピレーションと技術ですね。
HelpAround Real-time Patient Support
2013年設立。3ラウンドで$1.59M資金調達。現在の拠点はカルフォルニアのサンタモニカ。
HelpAroundは、時間、家族、地域社会、およびサービスをそれぞれの慢性糖尿病患者に合うよう支援する。健康および製薬のブランド側へもHelpAroundは患者に適切な治療法を提供するのに役立つというメリットがある。
糖尿病にかかっている人や、インスリン抵抗状態にある人を知っている人は、それには多くの器具やケアが必要であることを理解してるが、糖尿病患者が完璧なケアをしても、それでも症状を常に防げるとは限らない。なのでHelpAround Real-time Patient Supportが開発したアプリケーションHelpAroundではできるだけ多くの人々をつながりの中に入れようとしてる。モバイルアプリケーションは、糖尿病患者が、グルコース錠剤、計量器、または共用するインスリンの投与量を自分の近くの人とシェアすることが可能。また、糖尿病患者が突然糖尿病性昏睡状態に陥ったり、発作を起こしたりすると、近辺の看護師や糖尿病専門の医師の緊急対応がスマートフォンボタンのタッチで受けることができる。 そして2014年にはHelpAround Real-time Patient Supportは同様のサービスを食品アレルギーを持つ人たちに向けてもローンチし始めた。
Umoove
2010年設立。4ラウンドで$2.5M資金調達。拠点はエルサレム。
Umooveは追加のハードウェアを必要とせず、カメラを備えたスマートフォンやタブレットと互換性のある顔と目の追跡ソリューションを作成、ジェスチャー認識のためのプラットフォームを開発しました。それにより ユーザーはゲームをしたり、企業が目瞬きによりユーザーの興味を観察することができる。Umooveは、社内の医療アプリケーションを開発すると同時に、世界のトップ大学での視力検査の研究に力を入れている。目の追跡は、ADHD、脳震盪、外傷性脳損傷、アルツハイマー病、自閉症、脳卒中などの多くの神経学的障害の診断および治療方法として使用される予定。Umooveの最初の製品uHealthは、2015年の初めにリリースされ、AppStoreで見ることができる。mHealthの他にUmooveはSDK、ゲーム、自動車、分析、広告、ウェアラブルなどのさまざまな市場の第三者開発者と技術を共有。
同社では、他の一般的に使用されるモバイルコンポーネントのように顔の表情に応じて反応するゲームプラットフォームをすでに開発しているが、現在は重要な医療用途にその技術を適用したいと考えているよう。 「Scientific American」のレポートによると、Umooveのような視線追跡ソフトウェアは、自閉症、注意欠陥多動性障害、パーキンソン病などの重篤な脳障害を発見するために使用できます。目と顔の認識技術は、トロント大学の視線追跡研究者であるMoshe Eizenmanが「各個人の脳内に存在する世界のモデルを反映している」ように、個人の脳内の世界観を分析することができる。Umooveの追跡技術は、現在までに約3百万ドル相当の投資家の関心を集めています。
(参照元:
https://www.crunchbase.com/#/home/index
)
スタートアップでレーシングカーを製造 Griiip
個人的に、ここ最近で一番衝撃を受けたスタートアップ Griiipです。
なんとレーシングカーを作ってます。
Griiip
2015年10月にイスラエルにて創業。ファンディングについては不明、現在シリーズA。
まだ、CrunchBaseにデータがなかったので数字的な話はできませんが、Co-founder & CEOのTamir Plachinskyさんに少しお話を伺えたのでまとめさせていただきます。
レーシングカーを作り始めたのは八年前から(おそらく登記したのが2015年かと)。ミッションは『Our mission is to bring motorsport back to the people.』いつの間にか、車自体の価格も高騰しモータースポーツが一般の人に手が届くものではなくなってしまった存在に。それを解決しようとして生まれたのがGriiipです。十分なスペックを兼ね備えながら、安全性そして安価性を実現するとのこと。まだ、価格は公表されていないので今後どうなるのか動向が気になる。
従来のレーシングカーより安価に製造することが可能なので、新たなテクノロジーを本来のF1カーなどへ応用していくための試験車として提供することもあるそう。
ざっとスペックをまとめると(車に興味のない方はスルーしてください。)
チューブラー4130クロム - モリ鋼鉄スペースフレーム
サスペンション
エアフォイル部から作られたダブルウィッシュボーン、プッシュロッド駆動のコイルオーバーダンパー、アンチロールバー
エンジンとトランスミッション
Griiip©吸排気システムを備えた1000ccスーパースポーツバイクエンジン。 6速シーケンシャルギアボックス
ドライブトレイン
F1 1000で初めて制限されたスリップ差へのDriveshaftシステム。チェーンなし、メンテナンスフリー、高性能
ホイール
軽量アルミ製シングルナット・リム、13X8フロント、13X10リア
ブレーキ
ダブルサーキット、直径256mmの通気ディスクに作用する2ポットキャリパー
燃料
22リットルFT3 FIA燃料タンク
本社はイスラエル・テルアビブの郊外にあるそうですが、現在は工場がイタリアにあり製造をそこで行っているそうなのでレーシングカー実物を見ることはできませんでした。イスラエルの技術とイタリアでのモータースポーツへの情熱によってGriiipのレーシングカーは生み出されているようです。さすがにF1カーとまではいかないですが、完全にレーシングカーですね。
最後に「なぜレーシングカーを作ろうと思ったんですか?」とTamir氏に尋ねたところ、「僕が人生でしなかったら後悔することってなんだろうって自分に問うてみたら、それがレーシングカーを作るってことだったんだよ。車みんな好きだろ?」という至極シンプルな答えが返ってきました。
車好きの筆者からしたらかなり胸熱なスタートアップでした。普通、車会社入ったらいいのにって思ってしまいますが、いや自分で作ってやろうとするところがイスラエル人が起業家気質が強いと言われる所以なのかもしれません。
動物を殺さずに美味しいお肉を食べられる SuperMeat
鶏から細胞サンプルを採取し培養し、食肉を作る SuperMeat。
SuperMeat
2015年12月イスラエルにて設立。2016年7月にクラウドファンディングサービスのIndiegogoにて$141.34Kを資金を調達。
SuperMeat – 100% Meat, 0% Animal Suffering
食肉産業は動物殺伐や虐待そして環境への悪影響と長い間関係を持ってきました。しかし、肉を食べる人にとってハンバーガーや焼き鳥などに別れを告げるという選択は容易ではありません。
日本ではこの論争は文化的、宗教的観点からあまり敏感ではなく、ベジタリアン、ビーガンもそれほどポピュラーではないですが、欧米諸国特にアメリカなどは体内に摂取する物に対しても思想が強く現れている人も多いです。(その一例として日本の捕鯨が批判されていたりします。)また、イスラム教、ユダヤ教など宗教色の強い国でも一部の肉はできないことになっています。今いるイスラエルでは豚がダメです。
そんな中、IndieGogoのプロジェクトに出されたイスラエルのスタートアップ "SuperMeat"が実際に大量の動物を殺すことなく、鶏肉の組織サンプルを使用し実験室で養殖肉を生成できるようにする方法を開発中だそうです。
SuperMeatの技術は採取した小さな組織生検から単離された細胞を拡大することを可能にするそう。採取された細胞は培養され成長し、「栄養スープ」で複製され、組織を形成し、最終的には実際の肉を形成することができる。
出来上がった養殖肉は本物の鶏肉のような味だけではなく、腐敗もないとCo-founder&CEOのY. Nahmiasは主張している。
このキャンペーンによれば、「Cultured Meat (養殖肉)」はより健康的で人道的であり、地球温暖化そして世界の飢えを阻止するのにも役立つ可能性があると言う。
Gizmagによれば、開発プロセスの初期段階であるにもかかわらず、SuperMeatは製品は1ポンド(0.454kg)あたりわずか5ドル(約600円)のコストで作ることが可能だそうです。食肉にするために動物を育てるには大量の穀物や水を必要とし、温室効果ガスを放出し続けており、育てれば育てるほど地球温暖化へ寄与しているというのが現実です。SuperMeatによれば、同じ量の養殖肉を生成するにあたり従来の最大99%の土地、96%の温室効果ガス、96%の水を削減できるそう。地球上でこのまま限られた資源の状態で人口が増え続けるととてもではありませんが全人口を養うだけの食料を作ることはできません。この飢餓問題に対しても、SuperMeatは少しのリソースで大量生産が可能なのでアプローチすることが可能でしょう。
「動物の苦しみを終わらせる最善の方法を模索していたが、肉食習慣についても現実的である。また養殖肉はいつかは業界に革命を起こし、炭素排出量を減らし、世界中の食糧安全を高めることができる」とキャンペーンでは説明している。
それに加えて、研究室で栽培された肉は、成長過程を通じてユーザーのオーダーメイドを作成することも可能であるため、従来の肉よりもそれぞれにあったより健康なものになり、「何十億もの動物を育てて食べる」よりも安くて健康的な食肉になりうる可能性があるそうです。
SuperMeatはこれまでのところ、当初の目標を超えて141,340ドルを調達しています。
しかし、彼らは今、コンセプトマシンを開発するために50万ドルを調達し、研究室で生産された肉のプロトタイプを費用効率の高いものにするには、およそ250万ドルかかると考えています。そのマシンはスーパーやレストラン、家庭用キッチンで利用できるように大量生産することができると説明している。
SuperMeat - REAL meat, without harming animals
家庭に一台SuperMeatのチキン培養器が置かれる日がくるかもしれないですね。
日本ではまだまだSaaS, VR, FinTechのスタートアップが熱いですが、海外ではバイオテック企業も続々と出てきています。
Eating Meat Without Killing Animals.
(参照元:
https://www.crunchbase.com/organization/supermeat#/entity、
)